約 1,746,235 件
https://w.atwiki.jp/gyroseries/pages/14.html
原付の中で最重量級 乾燥重量130キロ。マグナに比べても+30キロの横綱級。 最大積載量の30キロを積んで、さらに体重70キロの男が乗れば総重量230キロ! フォルツァよりも重いのに排気量は5分の1・・・。 エンジン性能 旧モデルは2ストローク空冷単気筒エンジン。5.3馬力のパワーを発揮する。 かなり低回転からトルクがでるようなポートチューニングになっており、高回転運転には向かない。 この車体にパワー不足感は否めない。 新型は4ストローク水冷単気筒に変更されているが、さらにパワー不足になったようだ。(要出典w) 最高速度 純正状態ではほとんどの個体が55キロ/h程度。 変速域がとてもローギアードに設定されており、50キロ以上出すとエンジンのうなり方がすごい。 プーリーを入れることによって多少改善されるが、ノーマルエンジンのままでは状態がよくても 60~65キロ出ればいい方といえる。 積載能力 ジャイロUPと同じく最大積載30kgまで可能。最重量なだけあってリアデッキ部にはメインフレームがステップ下と同じ太さのままで張り出し、その上に鉄板+デッキ外装という構成で支えてあり積載には強度上の心配が全くない。但し積載位置が高めなので重量物を積むほどに走行性能に影響が出やすい。 防雨能力 雨は垂直に降ってくれると限らないのでノーマルでは完全に濡れない訳ではない、肩幅にも拠るがひじ周辺や足付近は濡れる。それでも無防備なスクーターにカッパを着込むよりは遥かに快適である。そして地味に重要なのがメガネやメットには一切雨がかからないので視界が良好であるという事。 ブレーキ 前後ともドラム式。フロントは普通の効きだが、リアは二つあるので効きがよい。 とはいっても車重があるのでよく止まるわけではない。 60キロ程度の速度域までは問題ないが、70キロに近づくとブレーキ性能に不安が残る。 70キロオーバーのチューンドではブレーキ強化は必須。 整備性 原付としては極悪の部類にはいる。 しかし、自動車整備としては軽整備ともいえる程度でいじれるのでたいしたことはない。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1026.html
「五つの力を司るペンタゴン 我の運命(さだめ)に従いし――」 「使い魔を召喚せよ━━」 その言葉を紡いだと同時に メメタァ!! よく解らない音と共に――━━ 爆発が起こった。 第1話●ロの使い魔 (狭い…暗い…ここ…どこ?) 必死に記憶を反芻するも思い当たる節もない (確か…病院に…居たはず…) 息がし辛い口をガムテープで塞がれて居る、体もロープで拘束されてるみたいだ ━理解不能理解不能理解不能理解不能━ などとちょっとした電波を受信していると浮遊感が体を包み込み―― 彼はこの世界から別れを告げた (お願い、皆が私のことゼロなんて言えなくなるようなすっっっごい使い魔よ来なさい!むしろ来て下さい!) 爆発を起こした張本人であるルイryは自らが起こした爆発に内心ビビりながら祈っていた そして土煙が晴れてくると次第に長方形の何かが姿を現し始めた (やったわ!とりあえず召喚には成功したんだわ!第三部完っ!ってとこかしら) しかしその喜びは束の間であった、何故なら姿を現したのは ━━箱? いや取っ手もついてるしカバンかしら、ああ、ちょうど良かった新しいカバンが欲しかったのよ、ウケウコケウケコウケッ ル(ryは現実から逃げ出した、しかし回りこまれた 周囲の生徒からは 「流石ゼロっ!俺達に(ry」 「そこにしびれ(ry」 とはやし立てられている、(ryは屈辱に肩を震わせて今にも泣きそうな表情へと変化している その様子を伺っていた褐色の胸がグンバツな女キュルケは (泣きそうな顔もそそるわねぇ、ルイズカワイイよルイズ――ってアレ??) (あの箱微かに動いてる?それに呻き声みたいなのも聞こえるわ) 「ねぇルイズ」 「なによ!!あんたも私を馬鹿にするんでしょ?笑いたければ笑いなさいよ!!」 キュルケは苦笑しながら答える 「アナタが召喚した箱なんだけど…中に生物が入ってるみたいよ?」 その言葉にルイズは箱を見やる、確かに呻き声や動きが見られる。 それを見てルイズの表情が緩みかけるが思いとどまった (駄目よ過度の期待をしては駄目、どうせ裏切られるんだから) などとネガティヴまっしぐらになってると乳女が 「早く中を開けて御覧なさいよ、ま、どうせ死の呪文を唱える舌の長いモンスターが出てくるだけでしょうけどw」 キュルケのその言葉にルイズは顔を真っ赤にしながら反論しつつも箱に近づく (ほほほ、本当に皿木を唱えるああああ、あいつがでたらどどどうしよう) 真っ赤にしていた顔を真っ青にしながらもルイズは意を決し箱を開ける―― 「――え?」 間抜けな声が出てしまった それもその筈モンスターが出てくるとばっかり思っていたのに箱の中には奇妙な恰好をした平民の少年がおり、しかも口を塞がれロープで体の自由を奪われてたのだ、少年の傍らに本があったがこれまた見た事の無い字であった。 ルryは混乱している (どういう事よ、くそっくそっ、舐めやがって!!) 周囲の奴らは 「ゼロが平民をしやがった!」 「しかも縛ってやがる」 「俺も縛られてルイズに詰られたい」 などとルイズを馬鹿に?しだしたのだ 「ちちち、違うわよ!ちょっと失敗しちゃってこの子が召喚されちゃっただけよ、ミスタ・コルベール!再召喚を要求します!」 「だが断る!再召喚など許可しなぃぃぃぃぃ!!」 「ですが平民を使い魔になんて聞いた事ありません!!」 だがルイズも食い下がる、平民を使い魔にするなんて良い笑いものだ、それだけは避けたい。 ルイズの必死の講義にコルベールは 「では留年という事で良いかな?」 と頭を輝かせながら言う、ルイズは留年という単語を聞き (留年なんて事になったらヴァリエール家の恥!それこそ家を追い出されてしまうわ、それだけはイヤ!) ルイズは観念し、少年に近づき━━ 思いっきり嫌そうな顔をした (なんなのよ!?平民でもせめて強そうな平民ならまだしもこんな子供なんて、しかもなによその前髪?ワカメなの?) (しかも私みたいな絶世の美少女が近づいっていってあげてるのになんで脅えてるのよ!) 見ると平民の少年は体をぶるぶると震わせながら泣いている (ああ!!もう!さっさと終わらせてしまおう、後の事は今考えない!) ルイズは自棄になりコントラクト・サーヴァントを行う 「感謝しなさいよ、平民のあんたが貴族で美人で素晴らしい私にこんなことしてもらえるなんて、二度とないんだからねっ!!」 少年は一層脅えだした、(俺のそばに近寄るなぁぁぁぁ)と聞こえた気がしたが無視する事にした。 「五つの力を司るペンタゴン、此の者に祝福を与え━━我の使い魔となせ━━」 ズキュゥゥゥゥン 「……あれ?なんで?失敗…したの?」 (そ、そんな、失敗したっていうの?人生オワタ\(^o^)/) ルイズが失望感に苛まれていると、禿ベールが近づいて来る 「あー、ミスヴァリエール?彼の猿ぐつわをとらないと、直接唇が触れないと契約は行えないよ?」 その言葉にルイズは希望を得るが同時にファーストキスを平民にあげる事に失望を感じた (ああっ!!もう!“覚悟”を決めるのよ私!) そして平民の子に対し出来るだけ威厳を損ねないような口調で話しかける、今更威厳もへったくれもないようなものだが、彼女のプライドがそうさせるようだ。 「今からこの猿ぐつわをとるけども泣き叫んだりしないって誓えるかしら?」 平民の少年は首を激しく縦に振る、どうやら苦しいようで顔色も心なしか悪く見える 「よぉーし良い子ね、安心しなさいリラックスよリラックス」 平民に言い聞かせながら猿ぐつわを取る その時衝撃の出来事が!! 「オゴェェェェェーーッ、ゲロゲロ」 平民が勢いよくゲ●を吐き出したのである、その勢いたるや圧倒的破壊力の小宇宙と言わんばかりであった 「何をするだァァァ!!許さんっ!!」 メメタァ! その後無事(?)にコントラクト・サーヴァントを終えルイズが少年に問う 「そういえば名前を聞いてなかったわね、私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエールよ!あんた名前は?」 使い魔のルーンを刻まれる際の痛みで泣き転んでいた少年は少し落ち着きをルイズの問いに答える 「ぼ…僕…僕の名前……ボインゴです…はい」
https://w.atwiki.jp/ruugle_sennsei/pages/174.html
2011年4月某日の新4年生の花見での事件 注:長ぇ・・・。誰か簡潔にまとめてくれる人募集 この事件は新4年生が花見をしにピンフ公園に行ったところから始まる。 まず、この事件を語るにはピンフ公園に行くところから始めなければならない。 この日の集合時間は13:30。集合場所はいつもの場所ではなく何故かいつもの場所の近くの公共スペース。 それを知りつつも何故かいつもの場所に集まるM田とT山。 いつもの場所にはいつもの通り例のあの人が。 例のあの人の殺すリストに入っているM田はその恐怖からか、息遣いでその人物の接近を把握できるという。 しかし、T山の策略により熱くなったM田はせっかくの能力を発揮する間もなく更なる暗転を繰り返してしまう。 そんなこんなで13 30を少し過ぎたが、いつもの場所から今回の集合場所に行くM田とT山。 その途中でゲオと遭遇。 G「今回の集合場所って近くの公共スペースだよね?」 M・T「うん」 G「集合時間って13 30だよね?」 M・T「うん」 いつもの会話。何もおかしいところはない。 集合場所に行くとこの計画の発案者のH田が。 何故いつもの場所ではないのか問い詰める3人。 どうやらH田が寂しい思いをして拗ねているのが主な原因らしい。あいかわらず可愛い系を目指すH田。 ここで花見のあとの遊び道具の話。 H田はすでに某玩具店を偵察してきた後のようで、お目当てのフリスビー状のものが見つからなかったと言う。 仕方なく当初の案の通りジャイロを使う4人。 しかしT山の手の中のジャイロはすでに満身創痍。 持ち主の手前そろそろ弁償をと考えていたため、新たなるジャイロを買うことが決定。 そうなったらピンフ公園とは真逆の某玩具店に行かなければならない。 4人は坂に体力を奪われながらも新ジャイロを獲得。 しかし、すでに体力を使い果たした4人は坂を嫌い大周りでピンフ公園を目指す。まさかこれが悲劇の始まりとは誰も予想しなかった。 なんとかピンフ公園に着いた4人だが、既に時刻は15時。 とりあえず、適当に座って花見。 案の定ゲオは野菜バーの厚さを半分にしてみたり、野菜バーにマシュマロを刺してみたりとカオスだった。 そのあと念願のジャイロタイム。 ここでゲオがのちの4人の運命を決める一言を放つ。 「ジャイロより移動時間が長いのはなんかね・・・」 移動時間は1時間半。つまり90分以上のジャイロタイムが確定。しかし、それくらいはいつも通りの時間だったりする。 広場には午前中しか学校がなかったのかたくさんの小学生が元気に遊んでいた。 そんななか四角形をつくりジャイロを投げ合う大学生4人。実に邪魔な存在である。 しかし、だてに20年以上も生きてはいない。 二人ペアで直線に投げ合う神フォーメーションを確立。 楽しく新ジャイロを投げ合う4人。 だが、ここで気づいてはいけないものに気づく。 「あれ、新ジャイロ壊れてね?」 あろうことか新しく買ったジャイロにも傷が。ジャイロが消耗品であることを決定づけた瞬間だった。 ここからが本当の事件の始まりである。 楽しくジャイロを投げ合う大学生。興味津津な小学生。 そしてついにある二人組の小学生が勇気を振り絞りこの拮抗状態を破りに来た。 「それってどこで買えるんですか?」 袋まで持ってきて親切に説明するT山。 それを聞いた小学生は意気揚々と自転車でどこかへ向かっていった。 しかし、ここで4人は気づく。旧ジャイロ貸してあげればよかったんじゃね? すぐにこの反省は生かされることになる。 また違う小学生三人組が 「それってどうやって作るんですか?」君たちはもう工学部の素質をもってるよ。よかったらうちの大学においで。 2回目ともなればなれてきた4人。さっそく旧ジャイロを渡して飛ばし方のレクチャー。H田が実によく似合っていた。 最初はまったく理解しておらず全く飛ばなかった小学生。 しかし、物の5分である小学生が飛ばすことに成功。やはり若いやつらは違うな。 それに触発されたのかほかの二人も飛ぶように。 もうお兄さんが教えることは何もないと、自由に遊ばせる大学生4人。 小学生の旧ジャイロと大学生の新ジャイロが入り乱れる広場。なんてほほえましいんだ。 満足した小学生はジャイロを返し、自分たちのジャイロを手に入れる決意をして帰路に着いた。 これが後のジャイロ流出事件である。 もう一つの事件、ジャイロ流血事件。 この被害者はH田。 加害者はT山とみられている。 被害者は「T山の投げたジャイロが消えた」などと意味不明な供述をしており、当局はその真相の解明に全力捜査中である。 被害者は加害者の消えるジャイロに対抗すべくその足を用いジャイロの暴走を食い止めようとした。 しかし、そのジャイロがくるぶしの激突。 その時は何もなかったが、帰り際に確認してみるとなんと流血していたという。 これがジャイロ流血事件の全貌である。 この事件によりジャイロの危険性が証明された。よって、小学生への流出は非常に危険であると考えられる。 ニュースでジャイロ事件が報道されないことを大学生は願うばかりである。 ちなみにそのあとはマイホーム(ご飯とゴマとお茶が食べ放題)にて栄養補給をする。 MAXまであったゴマが1/4まで減っていたが気のせいであろう。 この日の時間配分 花見 :30分 移動(帰り):30分 移動(行き):90分 ジャイロ :150分 マイホーム :180分
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4594.html
前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~ 腹立たしい。まったくもって、腹立たしい。 肩を怒らせルイズは街を闊歩する。憤懣覚めやらぬとはこれの事、先ほどのキュルケの 勝ち誇った顔が頭から離れない。 「ツツ、ツェ、ツェプルストーの奴……ゆ、ゆゆ、許せないんだから! 許さないッ! それに、あ、ああ、アイツもよ! 犬! 下僕! 使い魔!」 蒼銀髪の少年の顔を思い出し、ガンと地面を踏み鳴らす。まったくもって腹立たしい。 いっつも堅物っぽい喋り方をして真面目そうな態度でいたけど、昨日の事と言い、昨日の事と 言い、蓋を開けてみればやっぱりただの犬だったのだ、しかも手のつけられない駄犬。 ギーシュと決闘した時は、まあ、かっこいいかなぁとは微かに思ったけど、いや、使い魔 だから自分のモノに愛着をもつのは当たり前だけど、それは見当違いだったのだ。 クザクはどこでもかしこでも盛る駄目犬。駄目使い魔。最低で破廉恥な使い魔。 おまけにいっつも胸のデカイ女子に圧し掛かられたり、抱き合ったり。 ああ、思い出すだけでイライラする。 胸、胸、胸! 乳、乳、乳! おっぱい、おっぱい、おっぱい! あの男は見るたびにおっぱいのおっきい女に寄り付いてる。 あの、柔らかそうで、おおきくて、ぼよんぼよんで、二つで、はだけてて。 それに顔を挟まれてたり、押し潰されてたり、顔を真っ赤にしてたり。 なんというか、それってご主人様として許せないじゃない? 頭の中で何か割れる音がした、なんか種っぽいの。 ブツンと額の青筋が切れた音がした、多分百本くらい一気に。 「ええ、そうよ!」 拳を握りしめ、強く、実に強く、ルイズは頷いた。 ――あの盛り犬には首輪を付けて躾をしなければ! 使い魔は主人に従順でなければならないのだ。主人に忠誠を誓い、主人のためだけに 働かなければならないのだ。乳がでかい女に誘惑されるような駄犬では駄目なのだ。 おっぱいのおっきい女に駆け寄るようなバカ犬では許されないのだ。 そう、そうなのだ。 ルイズは更に力を込めて頷く。 自分は鞭にならねばならない。心を鬼にしてクザクを躾けなければならない。 その顔に、一個大隊に及ばぬ敗残兵を統率する司令官の如き鬼気迫るものが浮かぶ。 そうだ、自分は慢心の力を込めて今まさに振り下ろさんとする鞭だ。 だが、ただの調教、それだけでは足りない。 調教を、一心不乱の大調教を! 万能感に身を震わせ、ルイズは脳内に使い魔の主人らしく九朔を躾ける自分の姿を 思い描く。 が、 「――――」 沈黙。 「――――」 沈黙。 「――――」 沈黙、そして、 「――――ッ!」 果たして何を想像したというのか、怒りで震えていた肩はピタリと止まる。 怒りで歪ませた眉間は緩み、愛らしい顔が見る見るうちに茹で上がったタコに変わる。 そんなルイズの様子を、行き交う人は怪訝に思いながら通り過ぎて行く。 先ほどまでの鬼気迫る表情はそこにはなく、頬を赤らめ恥ずかしさに身を震わす少女が そこにいた。 「まま、まあ、仕方ないわよね。うん、仕方ない。だ……だってご主人様だもん」 うんうんと自分を納得させるように頷き、ぶつぶつ呟き、ルイズは歩を進める。 傍から見ればかなり危ない人に見えるが知らぬは当人ばかり。頷きながら歩みを数歩進め、 ピタリと止まる。 止まった拍子に後ろから歩いてきた行商らしき男とぶつかったがまったく気づく様子はなし。 「仕方ないわよね、うん、仕方ない。躾けは、き、厳しくしないといけないし……」 いや、だから何を想像した。 再び人とぶつかるルイズ。それが実はスリで、懐から金貨のつまった財布を取られた事に 気づくのはもう少し後。 「まあ、可愛いわよ、うん可愛い。でで、でも悪いのはアイツなんだから……うん」 うぅぅと恥ずかしそうに唸るルイズ。だが、その表情を彼女を良く知る者が見ればただ 恥ずかしがっているわけではないのに気づいたであろう。 緩んだ口端、期待に満ちたその瞳、間違いなくその顔には嗜虐的なものが浮かんでいた のだから。 「さ、さあ! 探さなきゃね! あのバカ犬ッたら本当どこ行ってるんだか!」 声を張り上げ、ルイズは胸を張って歩き出す。 その瞬間、ルイズは確かに輝いていた。 * 「――――ッ!」 全身を悪寒が走りぬけた。それは鮮烈なまでにおぞましい悪寒。 どの程度鮮烈でおぞましいかと言うと、こう、臀部の辺りがキュっと引き締ったと同時、 貞操の危機が本能的に感じられる程度に鮮烈でおぞましかった。 これは確実に自分の身に何かしらの危険が迫ってると考えていい、間違いない。 昨日二度もあられもない姿の子女に抱きつかれ(片方は妖怪変化的な類だが)、そのために ルイズに二度も失敗魔法をぶつけられた手前どうしてもこのような悪寒に敏感にならざるを 得ないこの現状に溜息は尽きない。 「ヒック……ろうしたね、クザク?」 「ああ、現実と言うやつがどうしていつも非情なのか考えていた」 「そーかそーか。だが、まあ、心配しすぎらよクザク。まぁったく、君と言う奴ぁ心配 しすぎなのら。周りを見たまえ、ほれ、見ろ。ここが何に見えるかね?」 既にワインを1瓶開けて酔ってるのか呂律のやや回ってない口ぶりで肩を叩くギーシュ に言われ、周りを見やる。 「居酒屋?」 「ちっがぁぁぁぁぁぁぁあああああああうッッッ!」 机を両拳で叩きつけ、立ち上がるとこれでもかとビシっと九朔を指差し店の中に響かせんと ばかりにあらん限りギーシュが叫んだギーシュ。はっきりいってそんな大声で叫ぶのは 迷惑極まりない。が、此処は居酒屋。周りも大概騒がしいので誰もそんな様子を咎めようとも 気にしようともしない。 「ここは天国だ! ヘヴンッだ! ここは地上の楽園なのらよクザク!」 「そうか」 「そうなんらよ! そうなのらよ! ここは天国、ヘッヴン! そうらそうろもさ!」 「そうか」 「ぼかぁねぇ。わかるかいクザク? ケティにもモンモランシーにもなーんもしれないんだ。 謝ったんら、誠心誠意込めれね。だというのに、なじぇ?! なじぇ、僕は殴られたり 蹴られたりしなきゃならないんらい!? わからに、わからないよ! ぼくにとっれ 女の子はみんな花らというのに! みぃんな分かってくれないんら! ないんらよぉ! だから呑む。僕は呑む! 今日は何もかも忘れていっぱい呑むんら!」 もう、哀れすぎて何もいえなかった。しかもえぐえぐと泣き出すもんだからたまったもの じゃない。泣き上戸なのは別に構わないのだが、はっきりいって男に泣き付かれるのは 勘弁願いたい。 ソッチの趣味はないし、何より酒自体余り好かない。 記憶喪失の手前昔のことはほとんど思い出せないのだが、酒というものにはどうにも 良い思い出がないような気がするのだ。 それは間違いもなく大十字家に生まれた女難癖の成した業の一つだが、それを今の九朔が 知る由もない。 先ほどの悪寒はひとまず忘れ、机をはさみ向かい側で自棄酒を始めたギーシュをよそに して九朔は店内に視線を移す。 『魅惑の妖精亭』――そこは名に違わず、容姿端麗な『美』をつけるに相応しい少女が給仕を 行なう店。だが、その少女達の衣装はほぼ下着と言っても差し支えのない際どい衣装に 身を包んでおり、豊満なバストは惜しまれる事なくその威容を誇らせ、丈の短いスカートを 巧みの技でぎりぎりまでに翻らせ男たちの視線を釘付けにする。 なるほど、大概の男たちにとっては此処は天国だろう、桃源郷だろう。 しかも彼女たちは何をされても笑顔を絶やさず、触ろうとするお客には妖精の微笑を以て 征するのだ。拒まれると燃え上がるのはどの世界でも変わらない、堪らず男たちは彼女たち へと更にチップを握らせる。 それは天国へと続く階段を買うというより、むしろ賽の河原の石を積み上げる行為。 ――嗚呼、悲しきかな男の性よ。 人間の、主に下半身的な欲望に対するひたむきな情熱とやらはある意味熱狂的再征服を行なう 宗教者の純粋さと何となく通じるものがあるのかもしれない、そんな下らないことを 思いつつ、水を入れたグラスに九朔は口をつける。 「蟻地獄――だな」 誰にも気づかれない程度に呟き、男たちのその末路を思い胸中にて九朔は合掌した。 そして其処にやってくる一人の少女。視線を上げれば妖精の微笑。 なるほど、確かに妖精と言うに相応しい愛らしさ。その蟲惑的微笑には高価な酒だって ホイホイ頼んでしまえる何かがあった。 「お客様、何かお飲みになられます?」 「ああ――そうだな」 微かに逡巡、そして九朔は顔を上げた。 「済まぬが、水をもう一杯頼む」 ――が、それが間違いであった 「なん……だと……」 約一時間後、九朔は絶句していた。 こんな事だったら水なぞ頼まずにちゃんとした料理を頼むべきだったと後悔した。 いや、今更悔やんでももう遅いが。 横には酔いが吹っ飛び顔を青ざめたギーシュ、眼の前にはにこやかに微笑む店員達。 その手に握られた、字は読めないが領収書と思われる紙束。 「ギーシュ……もう一度聞いて良いか?」 「ああ」 顔を見合わせる。 「金は?」 「スられた」 絶句。眼の前には恐ろしいまでににこやかな微笑を浮かべる妖精たち。 「お客様、お支払いは?」 そして物腰柔らかなその背後に見える修羅の相。 「なあギーシュ」 「なんだねクザク」 「手持ちはゼロか」 「ああゼロだ」 「本当にゼロか」 「本当にゼロだ」 「ポケットに一枚もか」 「ポケットに一枚もだ」 人は時として逆境に立ち向かわねばならない。そう、今がその時だ。 「ねえ、もしかしてお金ないの?」 が、その前にこの妖精たちの中でもひときわ強い目力を持つ少女が九朔達の前に 現れた。 他の妖精たちに漏れず胸元の開いた服に身を包んだ派手な格好ではあるが、ストレートの 黒髪に少し太い眉が他の少女たちより活発そうな雰囲気を醸し出している。 いわば健康的な美しさというべきか。 「ななな、何を言うかねお嬢さん! ぼ、僕は貴族だ! 金を払わないなぞというそんな 貴族にあるまじき行為はしない! うん、断じてしないぞ!」 「ふぅん――そっか。で、お支払いは?」 「う……!」 微笑みながら返されては流石にギーシュも黙るしかなかった。 「私さ、貴方みたいなカッコイイ貴族様が無銭飲食なんて恥ずかしい真似しないって 信じてるんだ。 ――だから、しないよね?」 「し、しないよ? で、でも今はそのお金がちょっと……」 その瞬間、少女の瞳に涙が浮かんだ。そして同時嫌な予感を覚えた。 「そんな……でも、やっぱり仕方ないわよね。最近は貴族のお客様でも苦しい生活をしてる って言うしさ。うん。仕方ないよ。また今度来てくれた時に……」 「ま、待ってくれ! 僕は貧乏じゃないし、生活苦でもない! ああ、そうさ! 今はちょぉっと手持ちはないがね、なに、金がなくとも心は貴族――なんでもしよう!」 「い、いいの? ……あ、でも今みたいな忙しい時間に貴族様を働かせるなんて私たち 平民如きには恐れ多い話だわ。ごめんなさい、良いのよ」 「何を言うかね。僕は貴族だ。貴族は常に貴族らしくあらねばならぬ。貴族は平民を 守る義務があるのだ。それを抜きにしても君のような可憐な花を悲しませる事など!」 「ああ、貴族様ったらいい人なのね――――だったら、手伝ってくださる?」 「もちろん!」 ――ああ、やっぱりな弩畜生 あまりにも見えすえの少女のかどわかしに引っ掛かったギーシュに九朔は頭を抱えた。 ついでに涙も出てきた、そして時分を見つめる少女たちの視線に気づいた。 「…………」 その視線は好奇に満ちていた。それはまるで幼女が着せ替え人形で遊ぶ時のような眼差し。 しかも全て自分に向けられている。 「ねえ、そちらのお方は貴族様のご友人なのかしら?」 「そのとおりだ。僕の心の友、ダイジュージクザクだ」 「そう、クザクさんって言うの……」 黒髪の少女の瞳が、妖精たちの瞳が、自分を見ている。 その輝きが異様なまでに煌めいていて。 それは昨日のキュルケのものと酷似していて。 背筋を悪寒が走る。 先ほどのものと匹敵するほどのおぞましさ。 その瞳が全て自分を見ている。 空から降ってくるわけではない、真っ直ぐにこちらを見ている。 ――我を見るな 逃げる事叶わぬ現状に九朔は呟いた。 微笑を崩さぬまま少女たちは九朔を囲む。ちょっとしたホラーだ。 彼女たちの腕が九朔を掴み、あらあらうふふと微笑いながら、彼をカウンター裏へと 連れ込む。 直後、トレビアンと咆哮する異様に艶やかな男の野太い声と九朔の悲鳴が店内を木霊した。 前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/40.html
【種別】 メイジ 【所属】 トリステイン 【属性】 土 【解説】 トリステイン魔法学院に通う、ルイズの同級生の男子。17歳。 フルネームは『ギーシュ・ド・グラモン』。使い魔の名前はヴェルダンデ。 グラモン家の四男にして末っ子。父は国軍にて元帥を務めるという名門の出。 二つ名は『青銅』。由来は錬金の魔法によって出現させた青銅のワルキューレを操ることから。 キザでいつも薔薇の造花の形をした杖を加えている。 かっこつけだが小心者で、メイジとしてのクラスはドット。 趣味はお洒落と公言するが、ファッションセンスは最悪。 普段学院で着ている胸の開いたブラウスとスラックスは、制服ではなく私服。 特技は彫金で、魔法を使わなくても素手で巨大な塑像を作れる程度には器用。 また、「仲良くなった女の子の身体サイズを正確に暗記できる」という隠れた特技を持っている。 女好きかつナルシストで口も上手く、どんなに臭い台詞であろうと平気で口にするが、ボキャブラリーは少ない。 冷静に判断する者の評価は「カッコいいけれどちょっとバカ」を筆頭に散々なものだったりする。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1679.html
削除いたしました。 長期に渡ってご掲載くださった管理人様、また拙作を読んでくださった方々へ御礼申し上げます。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1373.html
前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~ 空、双子の月。 翡翠の瞳は確かにそれを捉えていた。 「ここは……?」 覚醒する意識、広がる視界に捉えたそれに呟く。 見たことの無い景色、最初に浮かぶ思考はそれ。 「起きたのね」 声、向ける瞳、そこには月光に照らされる桃色の銀髪の少女。鳶色の瞳が九朔を見ている。 「誰だ?」 「私はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。あんたを召喚したご主人様」 「主人、だと?」 軋む体、ゆっくりと起き上がらせると世界は転回、視界と水平になる。 虫の鳴き声、静かな草原がそこに在る。 そして膝を抱えて座り、自分に相対する少女。 「そうよ、私はアンタを『サモン・サーヴァント』で呼び出して『コントラクト・ サーヴァント』で契約したの。 つまり、アンタは……正直認めたくないけど私の使い魔ってこと」 ルイズはその表情を苦々しいものにして九朔を見ている。 「どういうことだ?我は確かにさっきまで……っ!?」 そこまで口に出して九朔の思考は停止した。 背筋に走るのは戦慄、永遠にも思える一瞬が過ぎ去り認識した 事項が九朔の中を通り過ぎる。 ――何も思い出せない 馬鹿な、そんな想いが胸を駆け抜けるが落ち着かせる。思考を奔らせ自分が持つ情報を 出来る限り引き出す。 自分は『大十字九朔』、騎士である、以上。 生活の事やらなにやらは思い出せるが、自分にとって重要であると確信できる 場所がぽっかりと脳内から抜け落ちている。 それはまるで書物からぺヱジを引き千切ったように完全にだった。 「馬鹿な……!」 更に口に出して絶句する。 どういうことだ、自分はいったいどうなったのだ? 混乱する思考にパニックを引き起こしそうになる。 だが、 「―――あんた、何者よ?」 覗き込んだ少女の鳶色の瞳が合い、現実に引き戻される。 「……何だと?」 「だから、何者って聞いてるの」 「我は…………分からぬ」 「え!?」 「思い……出せぬ」 鳶色の瞳が驚きに見開く。 「記憶喪失なの、あんた?」 「みたいだ。だが、ここではない場所から来たのは分かる」 「じゃあガリアとかアルビオン出身なの?」 思考を巡らす。 「否、そのようなところではない。我は……我がいたのは………っ!?」 酷い頭痛が九朔を襲った。 めまぐるしく移り変わる映像、脳内に情報の奔流が迸る。 フラッシュバックした映像群は暗転し、その中の幾つかが残る。 映像→情報、一つの型に当て嵌まるようにそれは構築されていく。 ノイズ消去、合致、ノイズ消去、合致、繰り返される反復動作。 完成されるそれ、一個の情報体として脳内にインプットされる。 「アーカム………シティ」 「アーカムシティ? 聞いた事がないわね」 「今浮かんだ言葉だ。恐らく、そこが我のいた場所だ」 「どこかの田舎とかじゃないわよね?」 「違う、田舎などではない」 聳え立つ摩天楼、夜のない街、時計塔、繁栄のるつぼ。浮かぶ其の映像はゴシックであり レトロ、そしてモダン。到底田舎といえるものではない。 「そんなの聞いた事ない。『マテンロー』ってなに? 街の事?」 「違う、天を突くほどの高さを持つ建物の事だ」 「それってつまり空に浮いてるってこと? アルビオンのお城みたいに」 「空には浮いておらん、ただのビルだ」 「ビル? 何それ」 「コンクリートで造られた建物だ」 「????」 質問をするたびにルイズの頭には疑問符が連続して浮かぶ。目の前の自分と変わりない 少年の言うことは理解の範疇を超えたものばかりだ。 互いに質問を何度か繰り返し、ルイズはその情報をまとめてみる。 「要するにあんたは別の世界から来たけど自分のことが分からないってところで いいのかしら?」 「まあ、大体そんなところだな」 そもそもこんな風に月が二つもある場所など見たことがないしな、そう付け加えて 九朔は頷く。 「信じられないわね。荒唐無稽すぎて笑い話にもなんない」 抱えていた足を放り出し、溜息をつくルイズ。 「それはこちらの話だ。使い魔だの、貴族だの平民だの、我の知ったことではない。 それにそもそも、我は汝の使い魔になる気など毛頭ないしな。 帰り方は分からぬようだが、なに、自力で探すとするさ」 それを聞いてルイズの表情が一変する。立ち上がり、九朔に詰め寄る。 「ふざけないでよ! あんたと私は『契約』したのよ?!」 「契約を取り消せばよかろう?」 先ほど手袋の下を見た時にあった謎の文字をルイズに見せ付けるように示す。 「無理よ、あんたの左手の甲に刻まれたルーンだけど消せないから。 あんたが死ぬまでずっとね」 「なっ!?」 頭を鈍器で殴られたような衝撃に九朔は顔をゆがめる。 「それは何か? 寝ている間に為された契約は取り消せず、しかもお前のものは俺のもの 俺のものは俺のもの、そして我は生涯汝の物だとでも言う気か?!」 眼前にまで詰め寄っていたルイズを九朔は睨みつける。 「し、仕方ないじゃない、使い魔の契約ってそんなものなんだから! それに、元々 『サモン・サーヴァント』の呪文はあんたみたいに人間を呼び出す呪文じゃないもの! それにそれに………ファ、ファーストキス………だったんだから!」 あの時は捨て鉢になってしてしまったキスだったが、今更に思い返すとやっぱり ファーストキス、恥ずかしくないわけがない。 おまけに目の前のこの少年、よくよく見るとかなり綺麗な顔立ちだ。 清く正しく女子である自分よりも充分に女の子っぽい顔のつくりをしている。 睫毛はすらりと伸び瞳の色は澄んだ翡翠、蒼銀の髪は月光で仄かに煌めき背まで伸ばした それはリボンで編まれていたりする。 確信する、これを解いて女装とかさせたら絶対大概の女子は敵わない。 そんな彼である、キスの恥ずかしさが嬉しさも相まって3倍だったりして顔を逸らしつ 上目遣いに九朔を見たルイズだったが、 「キスなどどうでも良いわ!」 どうでも良い扱いで斬捨てられた、これは酷い。 「まあ、契約を履行する必要はないからどうにでもできるとしてだ。だが、動物などを 呼び出すはずの呪文が我を呼び出しただと? つまりは何だ? どういうことなのだ? 我は何か? 只の動物か? 犬か? 狗か!? 南米あたりのホテル最上階、スイートルームに突撃したが駆逐されるようなただの 走狗だとでも―――」 「う……うるさぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああい!!!!」 怒髪天であった。 それは不退転の心意気をも仏契(ぶっちぎ)る劫火の憤怒である。 顔を朱で塗った様に赤くし、、仁王立ちになり、九朔を悪鬼の形相で睨みつけた。 「わわ、私のファーストキスだったのよ!?そそそ、それをどうでも良いですって!? ふざけないで! ええ、ええ、ふざけないでちょうだい! そもそもアンタなんか行く当ても帰り方も何も分からないくせに! 勝手に行ったところで野垂れ死によ、ええ、野垂れ死に!」 矢継ぎ早に思いつくままに叫ぶルイズ。其の顔は恥ずかしさやら何やら入り混じって 真っ赤になり、小さめの可愛い口は怒りでわなわなと小刻みに震えている。 「いい、良いわ! 行ってみなさいよ、ええ、行っちゃいなさいよ! 行って野垂れ死ぬが良いわ! 別の世界から来たとか言ってたしここの常識なんて どうせ知らないわよね? ああ、だからきっと野宿だわ! きっと長続きしない! すぐにひもじい思いをして後で後悔するのよ! あああそうよね! 私のファーストキスをどうでも良い扱いしたもの!」 「あー……汝、そんなにファーストキスが大事だったのか?」 余りの怒気に呆気に取られた九朔だったがそれだけ言ってみる。 「誰が! アンタみたいなの勘定に入らないわ、使い魔だもの! けど、あんたのした 行いは許せない、許さないんだから!」 やっぱりファーストキスが大事だったんじゃないのかと思う九朔ではあるがあえて言わない。 こういう手合いは怒らせるだけ怒らせて自然鎮火させるのが良いと何故か魂のうちに 理解していた。 それから延々と思いつくままに数分の間怒りの言葉をぶつけるルイズであったが、それも 流石に疲れたのかおとなしくなる。 「はぁ……はぁ………」 「気が済んだか?」 「うるさい……」 立ち上がり、膝をついて息を切らすルイズに肩を置こうとする九朔であったが拒絶される。 まあ、己のファーストキスを奪った相手に気を使われるのは厭なのだろう、 合点し座りなおそうとする。 と、 「ん?」 座ろうとした先で何かがうごめいた。 それは良く見ると、 「てけり・り?」 なにやらぶるんぶるんと悶えるスライムっぽい生き物で、悪夢めいた感じに蠕動を 繰り返しつつも愛らしさのある赤っぽい何かであった。 それはいわゆるショゴスと呼ばれる「古のもの」に使えていた奉仕種族の一つで、 彼の母親のも同じものを従えているのだが、それはまた別の話。 「誰だ、汝?」 「てけり・り」 ぴよんぴよんと跳ねて九朔の足元にやってくる。 見た事の無い生き物だが、なかなかに愛くるしい姿である。 「……何それ?」 一息ついて落ち着いたルイズが疲れた顔でこっちを見ていた。 「さあな。ランドルフと此奴は名乗っておるが」 「何言ってるか分かんないんだけど………」 「てけり・り」 ルイズがそれを見ると、体の真ん中と思しき場所にある眼がくりんと愛らしく ウインクした。 蠕動が悪夢めいてて不気味なのだが、結構可愛いかもしれないと思うルイズ。 「てけり・り」 「ふむ、汝も記憶喪失なのか」 「てけり・り!」 片膝をつき、その触手でジェスチャーする不可思議物体と会話する九朔、ルイズのことは 既にアウトオブ眼中である。というか、何言ってるか分からない。 「てけり・り」 「ふむ、汝もアーカムシティを知っておるのか」 「てけり・り」 「そうか、汝も我と同じだな。同士と呼ぶべきか?」 「てけり・り!」 「ははは」 まるで竹馬の友とで言うような親しみで触手と握手する九朔。なんだか、不気味なような、 何処となく背徳的で官能的なような。 「ねえ、ちょっと」 「ん、何だ?」 「てけり・り?」 同時してこちらを向く一人と一匹、いや、一つ? 一羽? 一スライム? まあ、どうでも良い。 「結局、あんた行くの? 行かないの? はっきりしてよ」 意訳すれば『行かないでほしい』、である。 実際行ってしまえとか色々言ったが九朔に行かれてしまったら今度こそ、それこそ本当に メイジとして自分は失格になってしまう。 それに付け加え、『ゼロ』のあだ名に更にいらぬ屈辱的二つ名が其の前に添えられる事に なる。 それは厭だ。 だから彼を引き止めたいのだが、生来の性格ゆえに素直に目の前の少年に残ってください的な ことが言えない。 「ん、確かに我には行く当ても路銀もないしな」 「じゃ……じゃあ、私の使い魔として働く?」 「てけり・り」 「ふむ。ランドルフもそう思うか?」 「てけり・り」 人外との会話の方が重要度高しとでも言うのか、どうにか切り出した提案を無視され カチンとなるルイズ。 だが耐える、眉を逆ハの字にしたいのを堪える。 「で……ど、どうする?」 「そうだな、情報を集めるまでの間厄介になるとしよう」 「てけり・り」 どうにか使い魔として残ってくれる決断をしてくれたようだ。 内心万歳をしたいルイズであるがそこはそれ、彼女の素直でないところである。 「だ、だったら仕方ないわね。本当なら許さないところだけどさっきまでのあんたの失礼な 物言いは許してあげる。今日からあんたは私の使い魔、それとそこのぷにぷにもよ。 私のために色々してもらうんだから!」 ふん、と鼻を鳴らして腕を組み、見下ろすように言うルイズ。 それに肩をすくめる九朔であったが、とにかく全て良し。 * それから数時間後、学院に戻ったルイズは夜食も出る時間でないと分かるや否や服を 脱ぎ捨て眠ってしまった。 晩御飯食べたかったな、と呟くそこに恨めしげな何かが含まれていたがそれはあえて無視した。 「ふむ」 双子の月明かりの差し込む窓際で九朔はランドルフが変形したベッドに横たわっていた。 彼(一応の性別だが)曰く、自分はベッドになったり浮き輪になってた気がするらしく、 記憶を取り戻すために九朔にそうやって扱って欲しいと言われての事であった。 実に健気である。 「てけり・り」 「ああ、我が一体何者だったのか考えていたのだ」 「てけり・り」 慰めるように触手が九朔の肩を叩く。 「はは、汝は優しいのだな」 「てけり・り」 「ん?ああ、あの娘か………たしかに、困った主人だな」 あどけない寝顔を向けるその少女、言い草は傲岸不遜極まりなく聞けば貴族という、 自分たちのいた世界では霧が立ち込めるあの国ぐらいにしかいないような階級に いているそうな。 しかし、そんな階級にいるにしては年相応の少女の反応を示すあたり悪い人間ではないようだ。 ファーストキスであそこまで怒り狂うのだ、可愛いものである。 だが彼女がそうであったとしても、ここがろくでもない世界であるのは間違いない。 現に自分の記憶にあるあの国はそういった種類の人間が多いから容易に推測できる。 「てけり・り」 「ん?我の反応が子供らしくないだと?」 「てけり・り」 「そうだな、確かに不思議なことばかりだ。それに……我自身も記憶を失っている」 そう、自分は記憶喪失だ。 自分に関しての記憶がごっそりと抜け落ちている。 なのに、いったいどうしてかそんな状況であるにも拘らず自分は厭なくらいに落ち着いて しまっているのだ? 思い出せない今、それを考えても仕方ないのだが。 「てけり・り」 「ああ。明日は我等に起こせと言っておったな。だが、着替えの手伝いはしなくても良いから 掃除と雑用、洗濯物を運んでおけとは。普通は全部一人でしないか?」 普通は当たり前である。だが、貴族である彼女は普通は何もしないのが当たり前である。 なのに彼女が着替えの手伝いをさせず、それだけに終わったのはひとえに彼の顔が女性に 匹敵する程の可愛さがあってのこと。 だが、それが時に悲劇を生む事を彼はまだ知らない。 「てけり・り?」 「ふむ、そう言えばそうだな。女子(おなご)の生活の面倒を見るのに何故だか余り 嫌悪感がない。もしかすると、こういった事に慣れておったのかもな」 実は結構当たっていたりするのかもしれない。なぜなら彼の半身は常時下着のような 服装かつ、三十路を過ぎた彼の保護者はパッツンパッツンのミニスカートで総司令を しているのだから。 「てけり・り」 「そうだな、明日も早い。今日は寝るとしよう」 そんな年相応でない彼も半分は人の子、ルイズからもらった毛布を 羽織り眠りにつく。 ランドルフもその不気味だが愛くるしい瞳を体の中に沈める。 真っ暗な部屋に三者三様の寝息が満ちる。 前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1184.html
夜になりルイズの部屋に戻ったのだが、どうも2~3点相違点があったので改めて問いただす事にした。 「…あの二つの月は何だ?」 「何って…月は二つあるものよ?」 クレアと火を囲んでテレサについて話した夜を思い出すが、月というものは一つだ。間違いない。 「どうも、相違点があるな…そもそも、エルフというのは何だ?」 「あんたの居たとこじゃ『クレイモア』って呼ばれてるんだっけ?先住魔法を行使する種族よ」 「…私は魔法など使えんぞ」 エルフなのに魔法が使えないんだー、そう、それって私と同じ『ゼロ』って事ねーーー…… …… ………… 「ここ、この馬鹿ぁーーーー!」 「五月蝿いぞ、静かにしろ」 「魔法が使えないエルフなんて平民と同じじゃない…!こんなのを使い魔にするなんてぇ~~…」 契約の時の喜びはどこにやら、思いっきり凹んでいる。 ぶっちゃけ、エルフなぞより数倍厄介な連中なのだが、魔法が使えない=平民というのが常識のこの世界では、その反応は当然と言えた。 (まぁ一般人からすれば妖力解放も一種の魔法のようなものか) 上位Noの戦士でも抜き身すら見えない高速剣、クレアを追っていた奇妙な太刀筋の剣を使う女のようにアレも一般人から見れば、魔法みたいなものだろう。 もっとも、今の腕では高速剣は使いたくても使えないのだが。 「そもそも、私が居た場所では魔法などというものは存在しないのだが…どうも、お前達と我々の間で認識に違いがあるようだな」 「失敗ばかりで…サモン・サーヴァントで…やっと成功したと思ったのに…」 聞いてない、そりゃあもう、イレーネの話なぞ全く聞いていない。 (どうも、思っていたより事は厄介なようだな) 妖魔が居ない事やそれに変わるオーク鬼のような化物が居るという事は大陸が違うという事で納得できないこともないが 月が二つあるなどという事は、それだけではありえない事だ。 「で、私は何をすればいいんだ?」 「うう…一つは、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるんだけど…無理みたいね。わたし何も見えないもん」 「『無理みたい』という事は他の者は見えるという事か。まぁ私の視界に映ったものを他人に見られるというのは、あまりいい気はしないがな」 「二つは、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。秘薬とか。」 「モノによるが、この辺りの地理を知らんから無理だな」 二つ目も早々に否定されさらに凹んだルイズが搾り出すかのように三つ目を言う。 「これが一番大事なんだけど…使い魔ってのは主人を守る存在なわけで、使い魔の能力で主人を守るのが一番の役目なんだけど…」 ちらちらとルイズの視線が左腕に注がれている。 それを見て、まぁ無理も無いとは思う。 右腕もどれだけ使えるか試さない事にはどうしようもないが、限界近くまで妖力解放してせいぜい元の1/10以下の高速剣だろうと予測を付けている。 ここでは、魔法という物が幅を利かせているらしく、一割程度の妖力解放でどれだけやれるか、まだ分からない事が多すぎるのだ。 最初に契約されそうになった時の反応を見る限り、一割でもこちらの動きについてこれなかったようだが、所詮人間の学生だ。 ドラゴンやその他の化物にどれだけ通用するか分かったものではない。 「並の人間なら、遅れは取らんと思うがな」 「いくら速く動けるたって、メイジに対抗できなきゃ意味無いのよ…」 「メイジというのは何だ?」 「ホッント何も知らないのね…系統魔法が使える者達の事で、ここの学生は全員貴族の子弟よ」 飛んでたのはそういう事かと納得しかけたが、一つ疑問が浮かんだ。 「お前は、飛んでなかったがメイジじゃないのか?」 痛い。そりゃあもう痛いところを突いた。 だが、構わず第二撃が加えられる。高速剣の異名は伊達じゃあない! 「全員と言っていたからには、お前も貴族の子弟なんだろ?」 ルイズが固まっていたが、時間が経つにつれブルブルと震え始めた。 「ままま、魔法も使えない使い魔が、ごご、ご主人様をお前呼ばわりするんじゃないのーー!あんた、しばらくご飯抜きよ!」 もちろん原因は、『お前』呼ばわりされた事ではない。 常人なら死活問題だが、そんな事はクレイモアにとっては一週間近く飲まず食わずでも問題無いが、やはり急にキレた事は気になった。 「なにか要らん事でも言ったか?…お前だけ魔法とやらが使えな「さてと!しゃべったら、眠くなっちゃったわ!」」 イレーネの言葉を思いっきりルイズが遮る。それはもう、焦った様子で。 墓穴を掘るとは、まさにこの事だろう。 その様子を見て、ルイズは魔法が使えないのだろうと確信した。 「まぁ、気にするな。我々の中にも『色つき』という不完全な…」 そこまで言ってボフっと何かが投げられてきた。 一般的に言う下着というやつだ。 「こ、これ、明日になったら、洗濯に出しとくのよ!ホントなら、あんたにさせようと思ってたんだけど、その腕じゃ無理そうだし!」 まだ、何か焦っているが、イレーネからすれば、洗濯は腕一本でも十分にできる範囲だ。 戦士時代は黒服が着替えを持ってきていたが、隠遁してからは一人で暮らしていたのである。 半分妖魔とは言え、半分人間だ。 食事は性質上いいとして、やはり掃除、洗濯はそれなりに自分でしなくてはならない。 クレアと再び出会った頃には、下手な主婦などより、その方面のスキルは磨かれていたりする。 まぁ、その場はルイズの温情だろうと判断して何も言わなかったのだが、魔法云々に関してはあまり言わないようにした。 「了解、ボス」 テレサがオルセから指令を受けていた時、こう返していたなと思いつつ返事をすると毛布が一枚投げられてきた。 「ベッドは一つしか無いから寝る場所は床ね」 別段異存は無い。というか戦士にとっての寝床というのは大体床がメインだ。 ベッドで寝るにしても簡素なものだったし、貴族が使うようなベッドは逆に気持ち悪い。 欲を言えば大剣が欲しいとこだったが、腕を無くしたままの逃走劇途中だったため、さすがに持ってきていない。 壁に背を預けると、ルイズが指を弾きランプの灯りが消えた。 便利なものだな。と思いつつ目を閉じ静かに眠りに入った。 朝になり目覚めてすぐ妖力を探るが、思わず苦笑した。 昨日、この地に妖魔は居らず組織の力は及んで無いと思ったばかりだというのに、妖力を探った自分に。 「さすがに、朝日は一つだけか…」 近いうち、この学院の最高責任者に接触しなければならないが、それにはルイズの手を借りねばならない。 したがって、当面は従順にしておく事にした。 何の事は無い。組織に比べれば赤子のようなものだ。 (それにだ…どうも私を恐れている者達は私をエルフと呼んでいたな) 『クレイモア』と『エルフ』何か類似点があるのかと思ったが、そこら辺の情報は皆無なため判断のしようがない。 (それなら、それで最大限に利用させてもらおう) 恐れられているという事は、無用なトラブルを回避できるという事だ。 こういった意味合いでは、クレイモアと一般人の間で揉め事が少なかったと言う経験がある。 まぁ、例外もあるが。 「ヘックシ!」 「風邪か?ヘレン」 「冗談じゃねー…誰かが噂でもしてるんだろ」 ベッドの上のルイズを見るが、あどけない寝顔を晒しグースカ寝ている。 「寝顔は、あの時のクレアと大して変わらんものだな」 改めて言うが、年齢は、ちびクレア<<ルイズである。聞いたら絶対怒る。 「ルイズ、朝だ」 「うぅ~~~ん…」 起きないので思いっきり毛布を剥ぐ。 放っておいてもよかったが、起こさないままにして、責任問われるというのも御免だ。 「ふにゃ…!なに?なにごと!」 「朝だ」 単調に返すが、瞬間ルイズの顔が一気に青ざめる。 「えええええ、エルフーーーーー!?なんでわたしの部屋にエルフがぁーーー!?」 そう言えば、ノエルも寝起きが弱かったなと思いつつ目を覚まさせる。 「イレーネだ。顔でも洗え」 「…ああ…そうだった…わたしが召喚したのよね…」 朝一番から一気に、心臓が最大稼動し覚醒したルイズだが、思い出したかのように命じた。 「ふ、服と下着」 「下着の場所はどこだ?」 「クローゼットの一番下」 さすがに、片腕では着替えさせる事もできないので自分で着替えたのだが、当の本人は釈然としていない。 「なんで使い魔が居るのに自分で着替えなくちゃいけないのよ…」 もちろん、イレーネには聞こえない程度の呟きだ。 そうこうしていると、扉が開き部屋に誰かが入ってきた。 「なな、何勝手に人の部屋に入ってきてるのよ。キュルケ!」 相手を睨みつつ、心底嫌そうな声で言葉を放つ。 「朝一番に『エルフ』って叫びがしたから見に来てあげたんじゃないの、ルイズ」 「そ、そうよ!私の使い魔はエルフなんだから!!」 当然違うし、魔法なども使えないのだが、意地もありルイズもエルフで通す事にしたようだ。 キュルケと呼ばれた女がイレーネをまじまじと見るが、ちょっと恐れを含んだ口調で言った。 「ほんとにエルフね…凄いじゃない」 どの辺りでエルフと見なしているのかと問いただそうと思ったが止めた。イレーネ自身、エルフと思われていた方が動きやすいのだ。 「あなたも使い魔を召喚したんじゃなかった?」 「ええ、そうよ。いらっしゃい。フレイムー」 後ろから、真っ赤な巨大なトカゲが現れ熱気が辺りを包むが、それを見たイレーネが思わず妖力解放しかけたのは内緒だ。 (下位Noの覚醒者がこんな形をしていたな…) イレーネの価値観では一般的な動物以外の形をしている生物=覚醒者なのだから、まぁ当然なのだが、やはりここは元居た場所とは何かが決定的に違うらしい。 「それってサラマンダー?」 「そうよ、ここまで鮮やかで大きい尻尾は、絶対に火竜山脈のサラマンダーね。好事家に見せたら値段なんかつけられないぐらいのブランドものね」 「これは…こいつ自身が熱を出しているのか」 「『火』属性の微熱のキュルケぴったりでしょ?ささやかに燃える情熱は微熱。それで男の子はイチコロなのよ。あなたと違ってね。」 キュルケが得意げに胸を張るとルイズも負けじと張り返すが、その差は歴然。 あまり例えにしたくないが、妖力解放したテレサと自分ぐらいの差がある。 それだけ、妖力解放した時のテレサの妖力が化物じみていたという事だが。 「あなた…お名前は?」 「イレーネだ」 改めてキュルケがイレーネを見つめる。 身長180サント前後。銀色の綺麗な長髪。髪の色と同じ銀色の目。マントから覗く生の脚の付け根。ルイズとは違い出るとこ出ている胸。 自分とはタイプ的に違うが…こう一言で言えば… 「…ライバルになるかもしれないわね」 「なにか言ったか?」 「いえ、何も。じゃあ、お先に失礼」 赤い特徴的な髪をかきあげ、キュルケとフレイムがルイズの部屋から出るが、ルイズは拳を握り締め喚いていた。 「くやしー!なによ!ちょっと胸が大きいからってーーー!!」 「個人差だ。気にする事もあるまい」 当のルイズは、ジト目でイレーネを、特に胸の辺りを凝視している。 「あんたはいいわよそりゃあ!」 「お前はまだ成長してないだけだろう。これかというところだな」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、現在16歳。この年齢から成長するかと言われれば微妙なところである。 もっとも、その見た目故、イレーネは13歳ぐらいに思っているのだが。 ともかく、プンスカ怒りながらのルイズを先頭に『ルイズの』朝食を摂りに食堂へ向かう事になった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1363.html
「あの爆発を起こせるならば、並以下の妖魔なら倒せると思うぞ」 「…………」 廊下を歩くのは、ルイズとイレーネの二人だ。 少し時間が遡るが、鳩尾に蹴りが決まったシュヴルーズが目を覚ますと、その惨状に愕然とし、何とか自分を取り戻すと惨状を引き起こした張本人に掃除を命じようとした。 …のだが。ルイズの側に立っていたエルフことイレーネと目が合った。 「すまん、左腕を失っているもので抱える余裕が無かった」 イレーネ自身は、言葉のまま『悪い』と言ったのだが エルフという色眼鏡で見られている事と、左腕が無い事。あと、これは仕方ないが威圧感のある目でちょっと違う風に受け取ったようだ。 先住魔法使ってまで助けてやったんだから…後は分かるな? と、何か凄まじい誤解をしている。 「え、ええ構いません!ここ、これでは授業は出来ませんね…!きょ、今日の授業は中止にひます!」 ものっそい声が裏返っているが生徒達は授業が潰れた事にそれなりに嬉しそうであった。 そして今になる。 イレーネ自身は、あの爆発を失敗と思っていない。 むしろ、武器になると思っている。 今はまだ、あの程度だったが鍛えれば下位の覚醒者ぐらいなら倒せる程になるのではないかと。 そう思ったからこそ出た言葉だったが、長年これを繰り返してきたルイズの琴線に触れるには十分だった。 「…ぅるさい!魔法が使えるあんたには分からないでしょうけどね、こっちは何百回も練習したのに爆発しか起こせないのよ!?」 「使えない…と言ったはずだが」 「嘘おっしゃい!魔法もなしにどうやったらあんなに早く動けるってのよ!」 「…いいだろう、ここの最高責任者に話してからのつもりだったが…説明しておいてやる」 「聞きたくないわよ!えせエルフの言い訳なんて!!」 「おい、どこに行く!」 「放っといて!」 ルイズがその場を走り出すと残ったのはイレーネ一人だ。 ふぅ…と息を吐く。扱いにくい年齢なのだろうとは思うが、言い出したら話を聞かないのはクレアといい勝負だ。 見た目こそ20代だが、実のところ年齢は結構上。 成長はするが老化はしない。半人半妖の影響だ。 亀の甲より年の功…まぁさすがにそこまでというわけではないが、人の扱い方というもののそれなりに知っている。 あのようなタイプは熱くなっている時にどんな風に諭しても悪い方向にしか受け取らない。 つまりは放っておくのが一番なのだ。 「さて…ルイズの頭が冷えるまで…洗濯でも済ますか」 ルイズの部屋に戻り、籠を片手に…片手しかないが水場を探そうとしたが、まだ詳しくないので場所がよく分からない。当然、外にあるのだろうが ふと窓の下を見るとシエスタが歩いていた。 結構な高さのため、今から階段を使っても間に合わないだろうとして…窓から自然に飛び降りる。 壁の引っかかりを使い一定の速度で降りていく。そのまま適当な高さまで下がると一気にシエスタの目の前に着地した。 「聞きたい事がある」 ふつーにそう言ったが、空から人が降ってきたのでシエスタは目を点にして固まっている。 「え、えっと…やっぱり魔法使えたんですか?」 「いや、使えんが…ああ、ルイズの部屋から飛び降りただけだ。途中で足場は利用したが」 「魔法より凄いですよ、それ…」 「それで、水場の場所を聞きたい」 片手に持った籠を見て目的を理解したが、飛び降りた時にマントが引っかかって少し破れてイレーネの左腕が無い事に気付いた。 「その腕…どうされたんですか…?」 「昔…な」 しまったと思ったがもう遅い。 イレーネとて、あまり説明したいものではないのだ。 「すいません…なんか聞いちゃいけないことを聞いちゃったみたいで…」 「気にするな、ある物が無ければ大抵聞かれる」 「お詫びといってはなんですが…その洗濯物はわたしがやっておきます。そのマントも直さないといけないみたいですし」 「問題無いよ。この前まで一人でやってきた事だ」 「で、でも…貴族の下着とかを扱うには、その…片手では破いてしまう恐れが…」 籠の中身を見るが…確かに片手では少し持て余す代物だ。 「…分かったよ、頼もう」 その言葉と同時にちょっと沈んでいた顔が明るくなる。 シエスタなりに左腕の事を聞いてしまった事に責任を感じていたようだ。 「それじゃあ、そのマントも直しておきますので」 マントを外すと、イレーネの四肢…もとい三肢が明確になるが… クピ… 何かを飲み込むような音がした。 長身ながら華奢といえる程だったが、それでいて鍛えこまれた体。 一般的なものより、さらに白く透き通るような肌。 その色に合う、陽光を反射する銀色の長髪。 (……かっこいいなぁ) 別に百合っぽい花が咲いたわけではない。素直にそう思っただけだ。 片腕が無いという表現だとなんかアレだが隻腕の戦士という表現だとかっこよく見えるから不思議だ。 「直して貰う分は私の借りだな。何かやっておく事はあるか?」 「そうですね…厨房の皆が昼食に使う時の薪が足りないって言ってたんで、それをお願いできますか?」 言ってまたしまったと思った。なんせ隻腕だったからだが 「任せておけ」 と返事が返ってきたので任せる事にした。 厨房近くで薪を割る事になったが… 「こんなもので事足りるだろうな」 昼頃には綺麗に割られた薪が山のように積み上げられていた。 まぁ元の腕と大剣があれば、こんなものでは済まなかったろうが… 乾燥させる必要はあるが5秒もあれば大木一本を丸々バラす事が可能だったが、鉈とこの腕ではこんなものだろう。 それでも、その妖魔や覚醒者との戦闘にも耐えうる動体視力で 転がっている薪を足で垂直に立てるのに3秒、鉈を躊躇無く薪の中心点に振り下ろすのに2秒、真っ二つに割った薪を蹴り飛ばし一箇所に集めるのに3秒 一本あたり計8秒の早業で薪を量産していった結果が…イレーネの後ろの山だ。 もちろん積み上げるのにそれなりに時間はかかったが。 そうこうしていると、預けたマントを抱えたシエスタが、なにやら慌てた様子で走ってきた。 「た、大変ですイレーネさん!…ってこんなにやったんですか!?」 「む…足りんか?」 「いえ…これだけあれば、一ヶ月ぐらいは大丈夫だと思いますけど…」 「そうか。で…何かあったのか?」 「え、ええ!ミス・ヴァリエールがミスタ・グラモンと決闘をするってヴェストリの広場に…!」 戦士同士の揉め事というのは珍しくなかったし、戦士同士が互いの全力で手合わせをするという事もあったので、その辺りあまり重要視していなかった。 「手合わせだろう?放っておいても問題あるまい」 「……ご存じなかったんですね。ミス・ヴァリエールの二つ名は『ゼロ』 …魔法が使えないんです。それなのに魔法が使える貴族を相手にして…殺されるかもしれないんです!」 「…爆発は魔法ではないのか?」 「ミス・ヴァリエールの爆発は失敗なんです!」 (アレが失敗だと?……並以下の妖魔なら吹き飛ばせる威力と見たが) 「生きる意味か…まだ私にはテレサの言っていた事は分からんが…とりあえずルイズに付き合っていれば分かるかもしれん。広場はどこだ?」 「と、止めるってイレーネさんが止めるんですか!?無茶ですよ…平民が止めるなんて…!教師の人達に知らせて止めてもらうのが…」 「どうにでもなるさ『エルフ』…らしいんでな」 殆ど変わらない表情のまま淡々と言い、マントを受け取り片手で器用に留めると広場に向かい歩き出した。 こちらヴェストリの広場。 ギャラリーがルイズと相手の金髪―ギーシュ・ド・グラモンを囲んでいる。 「ゼロにしてはよくやった方だな」 そんな声があがっているのは、ルイズが爆発で青銅のゴーレムことワルキューレを一体破壊したからだろう だが、そこまでだ。 その次にギーシュが6体のゴーレムを作り出し、ルイズに魔法の狙いを絞らせないでいた。 「確かに、君のその爆発は威力はある。現に僕のワルキューレを一体壊してくれたのだからね」 杖を持つルイズはボロボロだ。一つに爆発を起こそうとすれば他の対応が疎かになり攻撃を受ける。 「君のせいで二人のレディの名誉が傷付いたんだ。ただ君もレディだ、一言謝罪すればそれで手打ちにしようじゃないか」 普通なら、負けを認めてもおかしくない戦況だったが…あのルイズだ。 「ふざけないで…!誰があんたなんかに!」 「仕方ないな。それじゃ終わりにしよう」 ワルキューレが6体、動きながら狙いをつけさせないようにルイズに向かい、その内の一体が拳を繰り出した。 (なにもできないなんて…!やっぱりわたしって『ゼロ』なんだ…) 受ける衝撃を予想して目を閉じたが、それは襲ってこない。 ギャラリーが騒ぎ出し、さすがに妙だと思い目を開けるとワルキューレの拳を誰かの腕が受け止めていた。 「っ…!やはり今の私の腕ではこの程度でもダメージになるな」 折れてはいないが骨にヒビが入ったようだ。 ヒビ程度なら妖力が残っていない今でも放っておけばそのうち治るだろうが…今すぐにはできない。 「な、なんで、あんたがここに!」 「それはこっちの台詞だ。しかし、酷いものだ。あの男も言っていたが…お前、謝罪して手打ちにしようとは思わなかったのか?」 「悪いのは二股の責任を人に押し付けようとしたあいつなのよ…! それに…人の事を『ゼロ』だって!わたしにだってプライドってもんがあるの!敵に後ろを見せない者を…貴族と呼ぶのよ!」 そう叫んだルイズを見て、イレーネが一瞬だが驚いたような顔をして目を閉じた。 「そうか…成程な…」 言いながら地面に刺さった剣に近付きそれを抜く。 「前に進むか退くか…お前も…闘う資格を持っているのだろうな」 決闘前に魔法が使えないルイズ用にとギーシュが半分戯れに作り出した物だ。 「だが、下がっていろ。ここからは私が相手をしよう」 「べ、別にいいわよ…あんなやつ、わたし一人でだって!」 「主人を守るのが使い魔の仕事なのだろ?なら私は仕事を成すだけの事だ」 ギーシュ・ド・グラモン、この場の決闘をコーディネイトした彼だったが、こんな展開は予想外だ。 ルイズの使い魔―エルフが相手になると言ってきたからだ。 今すぐにでも終わりにしたいところだが、既にワルキューレで攻撃してしまっている。 それに、ギャラリーも多数居る手前退くに退けない状況になっていた。 こちら、最上階学院長室。 コルベールがもんの凄い勢いで仙人っぽい老人に話したてていた。 「『ガンダールヴ』か…見間違いではないのかね?」 「間違いありませんぞ!オールド・オスマン!あのエルフは『ガンダールヴ』です!これは大事ですぞ!」 「確かに、同じじゃな。だが…エルフが『ガンダールヴ』になったというのは…」 厄介な問題だ。ただでさえ強力な先住魔法の使い手のエルフが、あらゆる武器を使いこなすと言われているガンダールヴになったとすれば国一つ滅びかねない。 「彼女が言うには…別の大陸から召喚されたようで…そこでは『クレイモア』と呼ばれているそうですが」 「クレイモア…大剣の事じゃな。そうだとすれば、ガンダールヴとしてはこの上ない存在なのかもしれんが…決め付けるのは早計かもしれん」 「かもしれませんが…」 そこにノックが入り話が中断される 「誰じゃ?」 「私です、オールド・オスマン」 「ミス・ロングビルか…何用かね」 「ヴェストリの広場で生徒が決闘騒ぎを起こし大騒ぎになっています」 「暇なら少しでも鍛錬をすればいいものを…性質が悪いわい。で、誰が暴れておるのかね?」 「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」 「女好きなところだけ親父に似よったあのバカ息子か…武勇の方も似てくれるとまだマシなんじゃがの。して相手は?」 「ミス・ヴァリエールです」 「ふむ…彼女か…」 魔法が使えない『ゼロ』と呼ばれているルイズとドットとはいえ、メイジだ。 止める為の言葉を吐き出そうとしたが、続くロングビルの言葉にその言葉を飲み込んだ。 「ですが…途中からミス・ヴァリエールの使い魔のエルフが相手をする事になったようです。教師達は、決闘を止める為に『眠りの鐘』の使用許可を求めています」 思わずオスマンとコルベールが顔を見合わせる。 下手すれば明日にはギーシュの葬式だ。だが、ガンダールヴなのかどうか確かめたいという気もあった。 「ミス・ロングビル。万が一じゃ。万が一ミスタ・グラモンの命が危なくなった時は『眠りの鐘』の使用許可を出すと伝えておいてくれんか」 「ですが、それなら今すぐ止めておいた方がよろしいのでは?」 「ミス・ヴァリエールが使い魔を制御できているのかどうか確認しておきたいのでな」 「…分かりました」 一寸考えたが、ルイズの二つ名が『ゼロ』と呼ばれている事を思い出し納得したようだ。 去っていく足音が聞こえるとコルベールが唾を飲み込んで促す。 「…オールド・オスマン」 「うむ」 オスマンが頷き杖を振ると壁にかかった大きな鏡に、広場の様子が映し出された。 剣を握りギーシュに向き直ったイレーネだが、右腕が軽い事に気付いた。 おまけに、その剣が妙に馴染む。長年扱ってきた自分の印が刻まれたあの大剣のように。 2~3回剣を振ると剣を下げる。 前の腕には及ばないが、かなり力とスピードが戻っていると感じた。 (…どれ程のものか分からんが…試してみるか) と、そこに叫び声。ご存知シエスタだ。 「だ、駄目ですイレーネさん!魔法が使えないのに貴族を相手にするなんて…それに左腕も無いのに無謀すぎます!」 左腕が使えない事はともかく、魔法が使えないという言葉にギーシュが反応した。 「魔法が使えない…エルフなのに魔法が使えないのか!『ゼロ』のルイズに相応しい使い魔じゃないか!」 そう騒ぎ立てるが、ギーシュの不幸は3つ ギャラリーが居る中ちょっとテンパって教室で見せた高速移動の事を忘れていた事 魔法が使えないとはいえ、エルフを倒せばモンモンとヨリを戻せると思い功名心が先に立った事 最後に、エルフなんぞより余程えげつない存在である事の三つだ。 (見ていてくれモンモランシー…この僕の勇士を!) 何か悦に浸ってきたギーシュが、改めて残りのワルキューレに武器を錬成する。 剣だ。それを持たすと残り六体の内三体をジリジリとイレーネに近付けさせる。 「少し下がっていろ、巻き込む」 「先住魔法でも使う気…?魔法が使えないわたしの前で…!」 「まだ私の二つ名を言っていなかったな…『高速剣』これが私が使う技の名だ」 「技…?技ってどういう…」 そこから先は言えない。もう既にワルキューレがイレーネの目の前まで迫ってきていたからだ。 「あ、危ない!」 そう叫ぶが、腕は下に伸ばしたままで構える時間も無い。 右腕のみ妖力完全解放。 誰もが斬られる、と思った瞬間その場を風を切る音とそれに混じって聞こえる小気味良い金切り音が辺りを包んだ。 「力とスピード共に半分といったところか…しかし」 そう言いながらギーシュに向かい歩く。 半分といっても現在のNo8『風斬りのフローラ』より剣速は上だ。 当然抜き身すら見えはしない。 「どうした…?どうして動かないワルキューレ!」 ギーシュがそう叫ぶと、止まっていたワルキューレが細切れにされたかのように砕けた。 よく見ると地面にも裂け目が出来ている。 (エ、エア・カッター!?杖なんか持って無いし…数も多すぎる…や、やっぱり先住魔法…!あ、あの平民、どこが魔法が使えないだ!!) 一気に焦るギーシュだが、そんな事お構いなしにイレーネが近付いてくる。 残りの三体も向かわせようとするが、銀眼に見下ろされ戦意が一気に失せた。 「どうする、続けるか?」 「じょ…冗談じゃない…降参だ…参った…だから命だけは助けてくれ…!」 それを聞いて砕けた剣をギーシュに投げる。高速剣には耐えられなかったようだ。 「心配しなくても、我々は掟で人の命は奪わん」 半人半妖の戦士が人の側の存在である事を示す唯一にして最大の掟だ。 崩れ落ちるギーシュと悲鳴が9割、歓声が1割のギャラリーに背を向けると、呆然としているルイズ近付く。 「行くぞ。それにしてもボロボロだな…水でも浴びて来い」 そう問われて我に返り、何をやったのか問いただそうとするが、マントから覗く右腕を見て言葉を失った。 腕が途中から奇妙な方向に曲がっている。 「う、腕折れてるじゃない!」 「ヒビが入ったまま使ったからというのもあるが…」 確かに力とスピードは上がっていたが、それだけだ。筋力その物が上がっているわけではない。 ただ、剣を振るうだけなら問題無いが、抜き身すら見えない剣速の高速剣を使うには些か強度不足と言えた。 骨折の他にも結構な箇所で肉離れなどを引き起こしている。 (気軽に使える技ではなくなったという事か…使えないよりマシだが痛し痒しだな) ふとルイズを見るが瞳を潤ませている。 「この程度で泣くな。よくある事だ」 「泣いてないわよ!誰が…!ほら…早く治癒の魔法をかけにいくわよ…!わたしのせいで使い魔が怪我したなんて許さないんだから!」 「…そう言いながら私の右腕を引っ張っているのは矛盾というのだぞ」 「…ああ、あんた左腕が無いじゃない!ほほ、ほら早く行く!」 焦ったルイズが慌てて手を離すが、一般的に重症と呼ばれる右腕を掴まれても顔を少し顰めただけなのはさすがである。 オスマンとコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。 コルベールの声が心なしか震えている。 「オールド・オスマン…見えましたか…?ワルキューレを切り裂いた物を…やはり先住魔法でしょうか?」 「ふむ…」 オスマンが目を閉じ白い髭を触りながら黙っていたが、しばらくしてカッ!と目を開いた。 「ミスタ・コルベールには見えなかったようじゃの」 オスマンには見えていたのか、とコルベールが驚く。齢百歳とも三百歳とも言われているこの言われたメイジの事を改めて尊敬した。 したのだが、次の言葉で即撤回するハメになる。 「惜しいのぉ…あのマントから覗く脚…この年寄りにもしっかり見えたぞ」 やっぱりただのエロ爺だ。驚いた事を後悔した。こんなのが上司だから私の大切な髪の毛が抜けるんだ。 「モートソグニルを使ってミス・ロングビルのスカートの中を確認するのもいいが…ああいう…なんじゃろうな、チラリズムっていうのもいいものだと思わんかね!」 ちなみに、現在のイレーネの服装は前と変わらず、マントを除けば各所をベルトで固定し左脚と右肩に皮当てを装備している状態だ。 胴体部分は布製の服だが、水着のような感じの形なので脚の付け根あたりは生である。 続けて力説するオスマンにドン引きのコルベールだが、後ろに気配を感じ後ろを振り向くとロングビルがそこに居た。 「ミスタ・コルベール、少々後ろを向いていて頂けますか?」 何かビキビキと音を立てていたので慌てて後ろを向く。 「やはり、あのネズミはモートソグニルでしたか。今度やったら王室に報告しますから」 落ち着いた口調だが、音は止まらない。多分血管の音だ、決して何かが解放されている音じゃない。 「カッカしなさんな…そんなんだから婚期を逃すんじゃ。白より黒の方がいいと思うがどうかねミス…」 その瞬間、コルベールの後ろから恐ろしい速度で何かを蹴る音が聞こえた。 一分後、少しスッキリした顔のロングビルが部屋を出ると、ボロボロになったオスマンが椅子の上でグッタリとしていた。 「あだだ…年寄りに乱暴じゃのぉ…」 「自業自得です。それより…やはり彼女は『ガンダールヴ』でしょうか」 「あらゆる武器を使いこなすとあったが…肝心の武器を使う所を見てないから分からんよ もちろん他言無用じゃ。王室のボンクラ共に知れて戦でも引き起こされてはかなわん。なぁ、ミスタ・コルベール」 「…学院長の深謀には恐れ入ります」 戦と聞いて口調を落としたコルベールを後ろに、オスマンが杖を手に取り窓際に向かい感慨深げに呟いた。 「別の大陸か……どんな者達が暮らしておるのかの…」 実際は違う上に大した違いは無いのだが。 「妖魔と呼ばれる種族が居るらしいですが…見てみたいものですなぁ」 コルベールが夢見るように呟いたが、見たら見たで永遠に夢の世界に旅立つ事になるが、それは知る事の無い事だった。
https://w.atwiki.jp/nitendo/pages/5407.html
ジャイロセット とは、【ファミリーコンピュータ】用のゲーム。 概要 ゲームシステム キャラクター 味方キャラクター 敵キャラクター コメント 概要 ジャイロセット 他言語 ハード 【ファミリーコンピュータ】 ジャンル アクションゲーム 発売元 任天堂 プレイ人数 1~2人 発売日 1985/08/13 (日本) 値段 【ファミリーコンピュータ ロボット】に対応したゲームの1つ。「ジャイロ」の名は、ロボットが回転したコマを扱う事から名付けられたと思われる。ロボットが回転して空を飛ぶわけではない。 ゲームシステム プレイヤーは、【ヘクター博士】・【ベクター博士】を操作する。ゲートの開閉が必要な時は【ファミリーコンピュータ ロボット】に指示を送る事で、ロボットがコントローラーを操作しゲートを開閉する。 なお、ロボットはあくまで「2コントローラのA/B」を押す役割でしかないので、ゲームをクリアするだけなら別にロボットがいなくても自分でボタンを押せば可能である。 キャラクター 味方キャラクター 【ヘクター博士】 【ベクター博士】 敵キャラクター 【スミック】 コメント 名前 全てのコメントを見る?